early works

early works of Megumi Jin 1

先月参加したイベントで、私たち二人は普段作っているジュエリーだけではなく、お互いに昔作っていた作品も出展した。何かいつもと違う展示にしたいなと思ったときに、部屋にあった10年以上前の作品がふと目に留まった。私が展示したのはキルンワークとコールドワークを組み合わせて作った長さ40cmくらいのガラスのオブジェ。作ったのは2004年ころ。120cmほどのもっと大きな作品の習作として作ったものだ。

大学2年の頃から、私はひたすらこんな細長いガラスの塊を作っていた。はじめは何か特定のイメージや意図があったわけではなく、長いプロポーションのものが素敵だなという程度の、自分がもともと持っていた素朴な美意識の表れだったように思う。作るほどにもっと空間にはみ出していきたいという気持ちは強まっていったが、そんな気持ちとは裏腹に作れる長さというものが有限であるということも思い知らされるようになる。ガラスというものは炉の大きさであったり、強度であったり、素材や製法の制約も大きい。そんなこともあってある時から、自分の作っているものは、「無限に長いものの一部分をぴっと取り出したもの」なんだと思うようになった。無限の長さを感じる有限の長さのものを作る…そんな風に発想を変えてみたのだ。空間に溶け込んでいくようなガラスの透明感も、私の表現したい「無限に長いもの…」とどこかつながりがあるような感じがした。

early work of Megumi Jin 2

ジュエリーを作り始めたのもちょうどこの頃。

作った作品とその後どう関わったらいいのか、どこに展示したらいいのか、そんな疑問がわきはじめた頃で、突き詰めて作品を作るほど、不自由さというか、自分の日常的な感覚との間に距離感も感じるようになっていて、ジュエリーがその距離感を埋めてくれるように思えたのだ。ジュエリーなら身体をキャンバスにして作品をプレゼンテーションできるし、出かける場所すべてが発表の場所になる。そう考えると気持ちが軽くなる。早速それまでつくっていた作品のミニチュアのようなジュエリーを作ってみた。

earrings - origine

これもまた小さいながら「無限に長いものの一部分」をイメージして作ったもの。

以来10年以上、私はこのピアスばかりを作り続けることになる。中には少し変り種もある。自分で着けたり友達にプレゼントしたり。bubunを始める前にあったのはこの一種類のピアスだけで、自分で着けるピアスもいつもこれだった。そしてこれがそのままsoloシリーズのピアスの元型になった。少し形は洗練された気がするけれど作り方 ー 板ガラスからフリーハンドでカットし削り出した棒状のガラスを電気炉で焼成する ー は昔とほとんど変わっていない。今もお気に入りだ。(M)

solo - earrings